##1.感染症
##2.尿路結石
##3.泌尿器腫瘍学
##4.外傷・異物
##5.陰嚢・精索・男性性器の異常
##6.先天異常
##7.その他
A.腎盂腎炎
症状 高熱、背部痛(患側、まれに両側)、尿混濁(尿中白血球多数)
起炎菌(原因となるバイキンのこと)として、グラム陰性杆菌(代表が大腸菌です。)まれにブドウ球菌。尿培養が重要。
特定の原因がなくても発生するが、若年の場合、膀胱尿管逆流症(VUR)のチェックが必要。…膀胱造影(CG)
結石、尿路通過障害も調べる。…経静脈性尿路造影(DIP)
治療は利尿、抗生剤、安静。急性の場合は予後良好。
腎機能の低下はないが、適切な治療をしないと(結石などの通過障害)腎膿瘍−−>腎機能の廃絶。
B.膀胱炎
単純性膀胱炎−−若い女性に多い。女性は尿道が短く逆行性に感染し易いため、特定の原因が無くても起きる。
不潔な性交(ドンナンデアロウカ?)や体力の低下など。・・・急性膀胱炎
複雑性膀胱炎−−老人に多い。排尿障害や神経因性膀胱が原因で起きる。慢性膀胱炎、膀胱留置カテーテルなど。
*小児の急性膀胱炎ではアデノウイルスが原因となこともある。
C.尿道炎
若い男性の性交感染症。女性は尿道が短いのでほとんど問題にならない。
淋菌が有名だがクラミジイアが一番多い。(興味がある人は泌尿器科のページへ)
*クラミジア性尿道炎…潜伏期間は1−2週間。症状は軽く、排尿痛・違和感、サラサラした尿道分泌物が特徴。
*淋菌性尿道炎…潜伏期間は数日。症状は強い排尿痛。尿道分泌物は黄色い膿。
オーラルSEXでもしっかり感染するので、注意するように。
診断は尿道分泌物の中に白血球がある。培養を採って起炎菌を調べる。
治療は抗生物質。相手も同時に治療しないとピンポン感染(片方が治ってもまた感染すること)するョ。
放置しておいたり、不完全な治療で尿道狭窄になったり、慢性前立腺炎になることがある。
(クラミジアは女性ではほとんどが無症状。放置していると子宮卵管炎になることがあり、不妊の原因にもなる。)
D.尿路結核
結核は減少していない!!AIDSの増加に伴って増加傾向あり。
無菌性膿尿(尿の一般培養では陰性なのに尿中に白血球がある場合。)、酸性尿が特徴。
自覚症状は少ない。膀胱の場合は慢性膀胱炎のような刺激症状がある。腎の場合は症状が出にくい。放置すると尿管狭窄、漆喰腎。
治療 抗結核剤の投与。尿管狭窄や萎縮膀胱は手術適応。
E.STD.(性行為感染症)
*尿道炎…前記
*梅毒…あまり見かけることはない。
F.前立腺炎
急性と慢性がある。慢性は急性から移行する場合はまれで、はじめから、慢性に進行する。
急性前立腺炎…発熱(高熱)、排尿障害。触診でぶよぶよした圧痛を伴う前立腺を触れる。
前立腺分泌液に白血球を認める。(若い男性でもなるんだよ!!)
治療は抗生物質の点滴。
慢性前立腺炎…症状は会陰部違和感、排尿時不快感などなどなど。
治療は抗生物質の長期投与。
G.精巣上体炎
陰嚢の急激な痛み。発熱を伴うことも有る。他の陰嚢疾患(精巣捻転、精巣すい捻転、精巣腫瘍)との鑑別が難しい。
単純な感染ならば抗生剤投与で治癒。結核性精巣上体炎は難治性で外科的切除が必要なこともある。
泌尿器科手術後、尿道カテーテル留置などで起こりやすい。
1.尿路(腎、尿管、膀胱)の結石によって引き起こされる疾患の総称。
2.成分として蓚酸カルシウム結石が一番多い。(感染結石は燐酸マグネシウムアンモニウム結石)
3.原因が明らかでない特発性結石が大半を占めるが、原因の解るものでは、
腎尿細管性アシドーシス、シスチン尿症などの遺伝疾患、
高カルシウム血症(原発性上皮小体(副甲状腺)機能亢進症や悪性腫瘍)、
高尿酸血症(血性尿酸値の正常は7以下、高い疾患として痛風が有名)などがある。
4.基本的に結石は腎臓で発生し、これが尿管に落ちて症状がおきる。
*結石により尿管が痙攣をおこし、下腹部痛が生じる。
*尿管が閉塞することによって、腎盂内圧が上昇し背部痛が生じる。(どちらの痛みも発作的)
*尿の流れが悪くなり感染を起こしやすい。
5.結石が嵌まりやすい場所。
A腎盂尿管移行部
B腸骨動脈交差部
C尿管膀胱移行部
6.診断
血尿(肉眼的や顕微鏡的)、腎尿管膀胱撮影(KUB)、DIP及びIVP、
腹部超音波検査(結石が直接見られなくても腎盂・尿管の拡張が解る。)
*X線に写らない結石。…尿酸結石、キサンチン結石
7.通過障害が長く続くと腎盂内圧が上昇し続けるため、腎機能が低下する。(腎後性腎不全)
8.自然に落下せずに大きくなる−>珊瑚状結石(感染が加わったものが多い。Look上)
9.治療
基本的には自然排出。(利尿、痛み止め)
自然排出不可能な石、腎結石に対して非観血的処置として、ESWL(体外衝撃波結石破砕術)、PNL
(経皮的腎結石摘出術)、TUL(経尿道的尿管結石摘出術)があり、その他に観血的手術治療がある。
9.予防 尿路結石は再発率が非常に高く、原因疾患のある物は治療する。
無い物でも水分を十分取らせる、カルシウムを十分にとるなどの指導及び定期的な検査が必要。
付1.膀胱結石 腎結石が降下して膀胱内に留まる以外に排尿障害に感染が加わり直接膀胱で発生する場合も有る。
付2.尿道結石 ほとんどが排石の時に生じる。女性では非常にまれ。尿管より尿道のほうが太いのでほとんどが自然に通過する。
付3.前立腺結石 慢性前立腺炎などに生じる。臨床的にはほとんどが無症状で放置可。
1.副腎の腫瘍
2.腎の腫瘍
3.腎盂の腫瘍
4.尿管の腫瘍
5.膀胱の腫瘍
6.尿道の腫瘍
7.前立腺の腫瘍
8.精巣(睾丸)の腫瘍
9.陰茎の腫瘍
1−A.原発性アルドステロン症
副腎皮質に生じた腫瘍から過剰のアルドステロンが分泌される状態。
好発年齢30−40歳、2:3で女性が多い。
症状は高血圧、低カリウム血症(筋力低下、テタニー)
大部分は片側性で小さい。副腎腫瘍の過半数を占める。
治療は手術摘出。(腫瘍が小さいので腹腔鏡でも可能)
薬物療法ではスピロノラクトン(アルダクトン)
1−B.Cushing症候群
血中コルチゾルの慢性過多により起こる病体の総称。
原因は
1.下垂体ACTH分泌亢進(70%)
2.副腎腺腫または癌(30%)
3.異所性ACTH産性腫瘍(まれ)
好発年齢は20-50歳、1:3で女性に多い。
臨床症状が特徴的で赤ら顔の肥満、胴体が太く四肢が細い。満月様顔貌(moon face)、
頚椎後部の隆起(buffalo hump)、皮膚線条。高血圧、耐糖能低下。
治療は
1)は下垂体腫瘍の摘出もしくは全摘、radiation。2)は片側副腎摘出。3)は腫瘍摘出
1−C.褐色細胞腫
アドレナリン、ノルアドレナリンを産性する腫瘍。
これらの過剰に分泌によって高血圧を引き起こす。(全高血圧の0.1%弱)無症状の場合もある。
持続的高血圧をきたすものでは動脈硬化、心筋梗塞の合併症。
発作的高血圧をきたすものでは強い高血圧で死ぬことあり。
副腎外、両側、副腎と副腎外に多発、悪性がそれぞれ10%あり10%病と言われる。
治療は手術摘出。術前にα-blockerの十分な投与、術後の管理が大切。
腎にできる腫瘍は、腎実質にできるもの、腎盂にできるものに大別される。
腎にできる腫瘍は、大半が腎細胞癌であり、良性な物(血管筋脂肪腫が代表)は少ない。
(腎盂にできる物は 3.腎盂の腫瘍で説明)
2−A.腎細胞癌
成人の悪性腫瘍は腎細胞癌。(国試に良く出る)
50-70歳の男性に多い。(近年世界的に増加傾向)近位尿細管由来。
3徴として「血尿、疼痛、腫瘤蝕知」が有名だがほとんどそろうことはない。
診断は腹部超音波検査(ECHO),造影CT、MRI。血管造影をやることも。
(転移の検索に骨スキャン、胸部XP or CT)
治療は手術療法が基本。(経腹的にやることが多い。)
手術不可のときはインターフェロン。
放射線療法、化学療法は効果なし。
生命予後が他の悪性腫瘍とことなり、5年を過ぎても再発する。
2−B.ウィルムス腫瘍(腎芽細胞腫)
小児の腎癌はウィルムス腫瘍(腎芽細胞腫)。75%が5歳以下
発生上、腎細胞癌と違い中胚葉の後腎細胞組織が尿管や糸球体に分化せずに悪性化したもの。
他の先天異常との合併が多い。(無紅彩症はウィルムス腫瘍が発生する危険率33%)
治療は手術、放射線療法、化学療法。
2−C.血管筋脂肪腫
腎実質の良性のものとしては血管筋脂肪腫が有名。
診断は 腹部超音波検査(ECHO),造影CTなどの画像診断で鑑別可能。
結節性硬化症との合併することあり。
巨大化することあり、出血することもある。
治療は小さいものは放置可。手術は核出術が基本。
腎盂にできる腫瘍はほとんどが移行上皮癌。(膀胱癌や尿管癌と同じ組織系)
腎腫瘍の1割弱。男性に多い。
症状のほとんどが血尿。発見、鑑別が難しく、周囲へ進展している場合も多い。
検査はDIP,造影CTなど。細径尿管鏡が有用。逆行性腎盂造影(RP)も有用。
治療は腎尿管全摘膀胱部分切除。
尿管、膀胱腫瘍の合併、膀胱腫瘍の再発に注意。
化学療法の効果あり。
尿管にできる腫瘍のほとんどが移行上皮癌。(たまにpapilloma)
症状は、血尿、尿路閉鎖症状。
検査・治療は腎盂腫瘍に準じる。
膀胱の腫瘍の9割が移行上皮癌。他に腺癌(尿膜管腫瘍が有名)、偏平上皮癌。
芳香族アミン(β-ナフチルアミン、ベンチジンなど)によって膀胱腫瘍が発生することが有名だが、
現在は喫煙が重要。
高齢の男性に多いが、30歳代から見られる。
症状は肉眼的血尿。発生部位によっては頻尿、残尿感などの膀胱刺激症状。
膀胱炎の症状と似ていることあり注意が必要。尿管口付近の腫瘍で尿路閉塞もある。
診断は膀胱鏡。(外来ですぐに施行できとても有用だが、はずかしく、男性では痛い。)
上部尿路(腎盂・尿管)腫瘍の合併があり、DIPを施行する。
尿の細胞診は有用だが、擬陰性が多い。
治療に対して、腫瘍の進達度が重要で膀胱超音波検査,CTを行う。
腫瘍は「有茎性・広基性」、「papillary・non-papillary」に分けられる。
また、病理学的的に悪性度の違いによりGr.(グレード)1―3に分けられる。
治療は腫瘍の進達度(浸潤度)によって分けられる。
有茎性―papillaryなものは表在性のものが多く、TUR−Bt(内視鏡的膀胱腫瘍切除術)で治癒可能。
上皮内癌は抗癌剤やBCGなどの膀胱内注入療法が有用。
広基性―non-papillaryなものは浸潤度が高いものが多く、治療として膀胱全摘+尿路変更が必要。
抗癌剤(M−VACが有名)や放射線療法も有用。
膀胱腫瘍は約半数に再発を見る。十分な経過観察が必要。
*尿路変更:膀胱全摘を行うと尿の出口が無くなり、尿路変更が必要。
昔は両側の尿管を直接皮膚に固定する尿管皮膚ろうが多かったが、
現在では回腸を15cmほど切断しそれを導管とする回腸導管がもっともポピュラー。
(感染防御や腹壁による狭窄がない)
これらは失禁型尿路変更術であるが、患者のQOLを考えた場合
非失禁型尿路変更も行なわれるようになってきた。
コックパウチ、インデアナパウチなどの腹壁内の代用膀胱増設や
neo-bladderと呼ばれる腸管の袋を膀胱と入れ替える方法が行なわれている。
6−A. 尿道腫瘍
単独に尿道に腫瘍が発生することはまれ。上部尿路からの進展が多い。
表在性の場合は内視鏡的切除。
(膀胱全摘を伴う膀胱腫瘍で尿道まで進展している場合は、尿道摘出が必要)
6−B.尿道カルンクルス
高齢の女性の外尿道口付近にできる良性腫瘍。
たいていの場合放置で良いが出血、疼痛、排尿障害がある場合は単純摘出を行なう。
私の専門なので別枠でも説明しています。
前立腺とは
前立腺は男性のみある臓器で、膀胱より末梢側にあって、中に尿道が通っている。
前立腺に異常が起きると、トイレが近くなったり、尿が出にくくったする。
正常な前立腺はくるみくらいの大きさで、重さは数グラムぐらい。
前立腺は、精液の一部を作っていて青年男性では盛んに活動している。
(精液の精子は精巣、つまり睾丸が作っているのは有名ですね。)
高齢になると役割を終えて次第に退化するが、異常を来たす場合が有り、
その代表的なものが前立腺肥大症と前立腺癌。
前立腺は解剖学的に内腺と外腺に分けられる。
(前立腺の超音波検査やMRIではこの2者を分けて見ることができる。)
前立腺肥大症は内腺が肥大してきたもの(外腺は圧迫され薄くなる。)で、
前立腺癌は主に外腺から発生する。
7−A.前立腺肥大症
前立腺肥大とは、50代ぐらいから、前立腺が大きくなってしまう良性の疾患。
原因は加齢変化と言われているが、詳しい原因はまだ完全には解かっていない。
大きくなった人全員が何らかの症状が出るわけではなくて、何らかの症状が出てきた場合を
前立腺肥大症と言う。
症状
前立腺が大きくなると膀胱を刺激して頻尿になる。(膀胱刺激症状)
(特に外界からの刺激が無くなる夜間に症状が強く出て、これを夜間頻尿という。)
次に前立腺が中を通っている尿道を圧迫して尿の勢いが悪くなる。
これが進行すると尿が出きらなくなり(残尿)、最終的には尿閉。
治療
1.投薬療法:初期の前立腺肥大や、症状の軽い場合はFirst Choice。
α−Blocker(高血圧の薬):尿道の抵抗を減らして尿の出をよくする。
植物・アミノ酸製材(エビプロスタット、パラプロストなど):尿が出やすくなるようです。
抗アンドロゲン剤(パーセリン、プロスタールなど):男性ホルモンを押さえて前立腺を小さくする。
2.手術療法:進行した前立腺肥大では手術が必要。
経尿道的前立腺切除術(TUR−P):尿道より内視鏡を入れ前立腺の肥大した部分だけ切除する。
経腹的前立腺切除術:下腹部を切開して前立腺を抉り取る。
その他:温熱療法、レーザー切除など
7−B.前立腺癌
50歳過ぎくらいから可能性が有り、高齢になるとその発生頻度が増して来てくる。
前立腺肥大を放置すると前立腺癌になるわけではない。
症状は前立腺肥大症と違い初期には出にくく、有っても軽い前立腺肥大症の症状。
そのため、発見が後れがちで、転移してから発見される例が多い。
転移はほとんどが骨で、全身の骨に転移する。
(老人性の”骨粗鬆症”と言われて治療が遅れることもしばしば有り。)
診断
1.腫瘍マーカー(前立腺特異抗原。PSA)
採血で解かり、一番敏感。(手軽で、早期発見には一番)
(前立腺癌以外でも、PSAが上昇するものとして、前立腺炎、尿閉、射精後や
前立腺マッサージ(風俗を想像しないで下さい。)の後でも上昇する。)
2.画像診断(超音波検査、MRI)
画像診断では腫瘍の大きさを断定でない。
3.直腸診(お尻の穴から指を入れて直接前立腺を触ってみる検査)
あまり正確なことはわからない。初期の前立腺癌は解からない。
前立腺癌の病期
病期とは癌の進行具合を示すもので、一般的にはStage分類を使う。
Stage A;Stage Aは別名、遇発癌とも言って、前立腺癌の診断が無い状態で、
前立腺肥大症として前立腺の手術を行い、その摘出標本から癌細胞が見つかった状態のもの。
ただし、癌細胞が見つかった後、転移検索を行って転移が認められた場合は後記のものになる。
Stage B;前立腺に限局した腫瘍。
Stage C;前立腺の被膜まで進展した腫瘍。
Stage D;D1が所属リンパ節転移を認めたもの。D2は遠隔転移を認めたもの。(骨転移など)
治療
1.ホルモン療法
前立腺癌は男性ホルモンに影響されるため、転移がある場合、
手術治療が不可能な場合(高齢の場合など)はホルモン療法を行う。
ホルモン療法では癌が治るわけではなく、制癌された状態(癌が寝ている)になり、
ホルモン不応性に変化してくれば、再び増大して来る。この場合、再発とは言わずに再燃と言う。
再燃までの期間はまちまちで、長い場合は10年以上、制癌できうる。
(ホルモン治療を行うと100%インポになる。)
ホルモン療法の内容は
A. 男性ホルモンを出さない。;精巣を取ってしまう(虚勢と言う)か、
男性ホルモンを出さなくするする薬を月1回注射する。
B. 男性ホルモンを吸収しない。;飲み薬の内服。
C. 女性ホルモンを投与。;むかーしはよく使ってたが、効果より副作用(心血管系異常)で
死亡することがあり最近はあまり使わない。
2.放射線療法
StageB,Cでは局所に放射線療法を行うことが有る。
3.化学療法
前立腺癌では基本的に抗癌剤は効果が少ないが、他の治療がきかなくなった場合や、
副作用の少ない内服薬を使うことも有る。
4.手術療法
Stage B、もしくはStage Cで前立腺全摘術を行う。
手術は前立腺を膀胱、尿道から切り離し、膀胱と尿道を再吻合する。
前立腺周囲は非常に血管に富んでいて出血が多い。
また、尿道と膀胱の吻合部位が骨盤の奥であるため技術的にも難しい手術。
(前立腺肥大症の前立腺摘出術は前立腺の外腺を残して内側だけを取ってくるので、
尿道と膀胱の吻合など行わないから比較的簡単。)
手術の合併症として排尿異常(尿失禁、排尿障害など)、インポテンツ、
縫合不全(尿道と膀胱の吻合部より尿がもれる)などがある。
陰嚢内に発生する腫瘍は大半が青年に発生する精巣腫瘍(悪性)で、
あと高齢で見られるリンパ腫がある。
精巣腫瘍はセミノーマ(精上皮腫)と非セミノーマに2分される。
陰嚢内腫瘤の鑑別が大切。
早期より転移を生じることがあり、後腹膜リンパ節、肺などに転移する。
抗癌剤(シスプラチンが代表的)による化学療法が著効を示し、予後は転移が有ってもそれほど悪くない。
停留精巣の場合正常時より数十倍発生頻度が高い。
こんなところでも腫瘍になるのです。
悪性腫瘍は陰茎癌(偏平上皮癌)で局所に留まっているときは陰茎切除で治癒するが、
転移(ソケイリンパ節、その他)が有ると予後不良。
治療は他の皮膚癌同様、放射線療法、化学療法。
包茎に多いのは有名ですね。
A.腎外傷
交通事故や喧嘩で後方・側方より衝撃か加わった場合におこる。
基本的には腎臓は胸郭・筋で囲まれており損傷を起こすことは少ない。
衝撃の程度で、腎挫傷、腎裂傷、腎断裂、腎頚部断裂に分けられる。
尿の逸流の有無が重要。軽度の場合は血尿などが見られるのみ。
治療は安静。重傷の場合は、出血性ショックが見られ、手術適応となる。
症状が安定しても腎機能の低下あり。(左側の場合は脾臓破裂にも注意)
B.尿管損傷
外傷で見られることはほとんどない。(尿管ちぎれるくらいなら死んでる。)
原因は大半が外科的手術の合併症。
治療は単純縫合及び尿管カテーテルの留置。
C.膀胱損傷
膀胱に尿が溜まった状態で衝撃が加わった時におこる。
(酔っ払いの交通事故や酔っ払いの喧嘩)膀胱がさける!!。
膀胱はその部位で腹腔、後腹膜腔に分けられ、前者の場合は外科的手術が必要。
後者はバルーン留置及びドレナージ。
D.尿道損傷
交通事故などによる骨盤骨折に合併する場合と、会陰部を局所的に強打した場合。
(男性が平均台から落ちた場合を想像して)
軽度の場合は(不完全断裂)バルーン留置。
完全断裂の場合は膀胱ろうを留置し3ヶ月後に尿道形成術を。将来的に尿道狭窄あり。
E.陰茎折症
陰茎には骨が無いので「折れる」というのはおかしいが、
勃起時に力が加わり陰茎海綿体の白膜が裂けて陰茎が腫れて曲がる。
(想像しただけで痛い!!!)放置すると陰茎の変形をきたす。
手術は白膜の縫合。
F.膀胱異物
女性に多い。(男性は尿道が長いから)
いろんな物を入れてくる。鉛筆、綿棒などはまだ良いが、体温計などはキケン!!。
放置していると感染、結石の発生など。
G.尿道異物
男性のみ。(女性は膀胱に落ちてしまう)待ち針が多いらしい。
A.停留精巣・移動精巣
精巣が陰嚢の中に下降・固定していない状態。
造精能力の低下、精巣腫瘍の危険性の増加あり。
1-2年で自然に下降することがあるが、しなければ早期に手術。(固定術)移動精巣の場合は放置可。
B.精巣捻転
10代前後にみられ、精索がねじれるために精巣の血流障害をきたし突然に痛み出す。(激痛)
golden time(6時間)以内に整復・手術しないと精巣が壊死に陥る。
<<急性陰嚢症と分類される疾患:精巣捻転、精巣上体炎、精巣垂捻転、精巣腫瘍>>
C.陰嚢水腫
陰嚢の中に水がたまる。小児の場合一過性の場合あり。
大人の場合一時的には穿刺で良くなるが必ず再発。
高度な場合(小児頭大ぐらいまで大きくなる)根治術。
D.インポテンス
心因性、中枢性(神経)、末梢性(血管)があり。原因としてDMは重要。
E.持続勃起症
心因性、外傷性あり。(立ちっぱなしは痛いらしい)
A.腎の先天異常
知っておいた方が良いのは馬蹄腎(融合腎)、腎嚢胞、欠損・発育不全、海綿腎ぐらい。
多発性嚢胞腎の場合腎機能低下による透析もありうる。
B.腎盂・尿管の異常
腎盂尿管移行部狭窄症(UPJ stenosis):腎機能の低下、尿路感染を起こしやすい。高度な時は手術。
重複尿管(完全・不完全):特に機能的異常が無ければ問題なし。
下大静脈後尿管:右の尿管が下大静脈の下をぐるっと回っている。症状があれば手術。
C.尿道の異常
尿道下裂:男性で外尿道口がペニスの先端に開口しない。
たちしょんができず、性交渉にも問題が生ずるので手術。
包茎:子供はみんな包茎です。
手術適応が有るのは包皮炎を繰り返す場合と、排尿時包皮が膨らむ(排尿障害)場合。
D.膀胱尿管逆流症(VUR)
腎盂炎を起こしやすくなす。高度な場合水腎をきたし腎機能の低下。
検査:膀胱造影(CG)、排尿時膀胱造影(VCG)。膀胱鏡で特殊な尿管口。
手術は膀胱尿管新吻合。軽症な場合、コラーゲン注入。
A.神経因性膀胱
排尿に関する神経系の異常。脊椎損傷、骨盤手術、DMなど。
詳しいことは覚える必要ないが、尿意の有無、膀胱内圧の上昇の有無、尿道抵抗をしらべ、
排尿ができるか、残尿量によって対処方法を考える。
高圧膀胱では腎機能の低下、残尿が多いと尿路感染に注意。
安易な尿道カテーテルの留置をせずに間歇的導尿・自己導尿の指導が必要。
B.尿失禁
尿が漏れる。女性にとって大問題!!むかしは年のせいと諦めていたが、
いまはちゃんとした治療法がある。(こまった場合の泌尿器科受診)
分類をおぼえる。
B−1.腹圧性尿失禁
くしゃみや急に立ち上がったときにもれる。骨盤底筋群の締まりが悪い。
後部尿道膀胱角が開きすぎると括約筋が機能しずらくなる。
まずは体操と投薬。重傷のときは手術。(尿道吊り上げ術)
B−2.切迫性尿失禁
尿意が生じると我慢できずに漏れる。
膀胱の無抑制収縮による。投薬によって改善する。
B−3.溢流(いつりゅう)性尿失禁、奇異性尿失禁、overflow incontinence
みんな同じ意味です。overflowと言うとわかりやすいかな?
尿が出ずらいくせに漏れる。ちょろちょろ漏れる。前立腺肥大症、神経因性膀胱で見られる。
治療は排尿状態の改善。手術など。
B−4.反射性尿失禁
膀胱が自分の判断で排尿する状態。あかんぼの排尿を考えて。上部神経より抑制がとれた状態。
B−5.完全尿失禁
常に漏れる。前立腺肥大症の手術時、括約筋を切っちゃた時など。
B−6.その他
トイレで排尿しなくちゃいけないことを理解できないボケ。トイレに行きたくても歩けない場合。